音だけの世界

投稿者: staff

こんばんは。長らくblogをおやすみいただきました。

中々帰省など出来ないために、家族が少しだけ遊びに来てくれたこともあり、その時間を大切にしました。

私の祖母は視覚障害があります。もう物心ついた時からずっと「障がい者」と世の中ではくくられる人が家族にいました。けれど、私たち家族にとってそれはただの「個性」にすぎません。

健常者と障がい者など、人は何かと種類を分けたがるものですが、同じ人間です。

人はそれぞれ得意なこと、不得意なことがあるように、そんなときは出来る人が支えて手を差し伸べていけば良いだけのことです。

小さい頃からそんな祖母と歩むことが当たり前だったので、わざわざ「障がい者」と思って生活したことはありませんでした。

ただ大人になった今、祖母がたくさんの気遣いをしながら誰かに「助けてもらってる」そんな風に生きていることを知ります。

例えば、誰かがいなければ出かけることもできません。もちろん世の中の目の不自由な方の中には盲導犬がパートナーとして、時には杖を使いながら外出する方もいらっしゃいます。

けれども、私の祖母は光も全く分からないのでなかなか難しいことです。

昔から祖母は何か用事があると1時間も2時間も前から身支度を済ませてその時間を待ちます。ずっと「せっかちな人」だと思っていました。

でも祖母は自分が1時間も2時間も待ったからといって、誰かを急かしてくることはありません。

だから先日、「いつも待たせてばっかりだけど、おばぁちゃんは人を待たせることは絶対無いよね」と言うと「待つ分はなんとも無いの。」と返しました。

それ以上は言いませんでしたが、せっかちなのではなくてきっと祖母なりの気遣いなのだと思います。

どこか人に迷惑をかけてしまわないように、なるべくわずらわせないように、そうやって自分がすぐ動けるようにする祖母なりの工夫なのでしょう。

また、出かける前になるとキョーレツな匂いを放つ「正露丸」が祖母から放たれて鼻を刺激します( 笑 )

でもこれも、急にお腹の調子が悪くならないように、、などの祖母なりの工夫なのでしょう。

出かける時は、冷たいものは飲まないようにする、なるべく水分摂取を控える、トイレに行きたい時はものすごく申し訳なさそうにお願いしてきます。色々今頃になって気づく祖母の気遣いがあります。

中々、見た目だけでは目が不自由なことを周りからは分からないので、介添えして歩いていると人通りの多い場所だと意図していないけれど誰かに当たってしまったりします。

そんな時に舌打ちされたり、嫌な顔をされることも度々あります。幸い、そんな嫌な顔をする人の表情は見なくて済みますが、きっと心のない声など、生きている中で沢山聞こえてきたのではないかと思うと胸が苦しくなります。

弟がいるのですが、祖母がよく「お友達と会えば思春期でこんなおばぁさんと手を繋いで買い物してくれるのは恥ずかしいだろうに、いつも手を引いて買い物に連れてってくれたし、トイレも付いてきてくれたり、本当に感謝してるよ」なんてことも話します。

私たち家族にとって、祖母は全然恥ずかしい存在ではなくて、むしろ誇りであり自慢です。

私も目を閉じてどんな世界かを想像しますが、もし生きている中で色を失ったり景色を見れなくなることがどれほど怖いことか、それがずっと続く中で生活をしていくことは言葉では言い表すことのできない苦労が様々あると思います。

なりたくてなった訳ではない「病気」。それなのに、たくさんの気遣いをしながら工夫をしながら生きていく、、。

だったら、得意な人が、出来る人が、そんな方を当たり前にサポートしてあげられる世の中になれば、わざわざ「障がい者」とグループで分けなくても、「個性」として尊重してあげられることではないかと思います。

私は祖母が目の不自由という個性を持って、家族として存在してくれたことに、大きな感謝の思いでいっぱいです。

居てくれたから気づけたこと、思えたこと、沢山あるのは間違いなく祖母のおかげです。

私たちが仕事をする上で相手となる患者様も、一生懸命「病気」と向き合いながら毎日を歩んでいます。

そんな方に少しでもお力になれるよう、支えになれるよう、努めていけたらと思って毎日を過ごしています。

「音だけの世界」それは、不自由なこともあると思いますが、優しい手を差し伸べて、優しい言葉をたくさん届けてあげれば、きっと祖母なりに世の中を彩ってくれるはずです。

そんな祖母は、盲学校で身につけた資格をもとに「マッサージ」を職として頑張ってきました。今は引退していますが、世界一のマッサージ師だと思っています。

優しい手で、しっかりと体を労ってくれました。院長も2日間マッサージを受けてスコブル元気を取り戻していました♬

祖母が教えてくれたこと、気づかせてくれたことはきっとこの仕事に活かせるこたが沢山あると思っています。

また、ここの患者様のために一層成長できるよう頑張ります!

「毎日ブログ」がなかなか「ほぼ毎日ブログ」になっておりますが、ブログが更新されていないと「大丈夫?疲れてない?」と連絡くださる方がいたり、ブログを通してとても励ましていただくことも増えました。

温かく見守ってくださる皆様に感謝の思いでいっぱいです。

それでは今日から10月が始まりました。

1年も残り3ヶ月..あっという間ではありますが、目標を持ち毎日を大切に過ごして参りましょう。

おやすみなさい。

2025.10.01