能力主義を見直す

投稿者: staff

こんばんは。

今日の静岡は久しぶりに夏日のような暑い1日でした。肌寒い時間や暑い時間とかなり忙しい気候です。みなさま体調にはくれぐれも気をつけて心地よくお過ごしください。

毎日の新聞の中から、心に響いた言葉や記事を切り取り保管しておくという収集癖があります。「スクラップ」と言いますが、今の時代は古臭い行いに思えますが少し前は好きな雑誌の一面を切り取ったりする方もいらっしゃったのではないでしょうか。

朝日新聞の”天声人語”や”ひと”の記事は特に楽しみにしています。天声人語は短い文章の起承転結で色々な想いを巡らせてくれます。”ひと”の記事は全国のあらゆる一人にフォーカスしてまとめてあるのですが、会ったこともない人が身近に感じられて想像することがなかった活動を一生懸命頑張ってらっしゃる方がいるんだと思い知らせてくれます。

スクラップした記事を振り返ってみれば、その時々のイベントを思い出し、当時の自分がどんなことに興味があったのかをまた知ることができたりと楽しい時間です。

今日はそんな大切なスクラップファイルを振り返ってみました。

「コロナパンデミック」

まるで遠い昔の話しのような、まだ記憶に新しいような、、今は人間が様々な苦労を経て、ウイルスと上手に付き合っていけるようになり日常が戻ってきました。

歴史上では何度も繰り返されてきたパンデミック。

その中で失った尊い数多くの命があることを私たちは決して忘れてはいけません。

あの時を振り返ると、すごく胸が苦しくなります。

急に報道が全てCOVID-19の話題になり、世界中でウイルスの猛威を振るう様子がうつしだされ、ただただ不安な毎日でした。

「ステイホーム」が繰り返し繰り返し発信されて、外に出ることを怯えていた毎日。スーパーに行けばみんながストックするために買い溜めることで隙間の目立つ商品棚、一番欲しい感染予防のマスクもアルコールも全くない状態で、みんなが朝早くから長蛇の列を作り並んでいたドラッグストア。レジに並ぶためにはソーシャルディスタンスを強いられました。子供が上手に守れず少し線からはみ出して前に進むと、前に並んでいた方から舌打ちをされたこともありました。まるでバイ菌扱いをされるように。今思い出してもとても悲しいです。

みなさんもきっとコロナのパンデミックの時期は多かれ少なかれ辛い思いをされたのではないでしょうか。

あの時に本当に恐ろしかったのは、きっとウイルスではなく究極を迫られたときの人間同士だったのではないかと感じます。

コロナのパンデミックがあって、この世界は良くも悪くも色々なことが変化して、取り入れられて、それに慣れてきて今は当たり前のようになっていることが多くあります。

在宅ワークや出前が身近なサービスになったこと、医療の現場では昔よりも人が風邪の症状に敏感になり、自ら検査を希望される方が大幅に増えたと思います。

振り返ったスクラップに、「行きすぎた能力主義 見直すとき」というタイトルでハーバード大教授マイケル・サンデルさんの記事がありました。

“仕事の未来はどうあるべきか”

コロナ禍では感染リスクを避けながら自宅でテレワークができた人がいる一方で、そういう贅沢ができない労働者もいた。自宅の玄関まで食料品を届けてくれた配達員のお陰で、私は混雑したスーパーに行く危険を冒さずに済んだ。リスクを引き受けてくれたことを、私たちは忘れてはいけません。

このように、能力主義に重きを置く社会ではなく、コロナ禍を支えたエッセンシャルワーカーのような人たちにこそ敬意を払う社会への転換を説いています。

また彼は、

パンデミックは、学歴や身分、先進国と途上国という垣根を越え、「私たち全員が一つの未来を描かなければいけない」というきっかけにもなった。「異なる背景を持つ人たちが互いの違いを知り、一つになってよりよいものを求める先に答えがあるはずです」

とも述べています。

この世界の人間はいつも何かを比べあって優劣を付けて、元は同じ人間なのに埋まらない”差”がなぜか存在します。

どうしてなんだろうといつも思います。

この記事は当時のコロナのパンデミックの時だけの話しではありません。

今もずっと大切にしなければならない考えだと改めて思い返してくれる内容でした。

いつもクリニックに行くまでの道では、たくさんの方とすれ違い色んな景色を見ます。

寒くても暑くても、道路を整備してくれる老若男女の方がいらっしゃるし、みんなに「ありがとう」と言われなくても道を綺麗にしてくれるゴミ拾いの方もいらっしゃるし、ちゃんと見ようとすればこんなにも多くの方でこの世の中が成り立っていることを感じることができます。

自分が得ている便利の裏に、汗を流している方がいることを忘れちゃいけないし、ずっとずっと感謝する心を大切にしたいと思います。

当時コロナ禍で病院という場所は悲惨な状況だったそうです。一生懸命頑張って支えている側が、まるでバイ菌扱いでした。私たちも医療従事者という理由で、子供も含めて悲しい思いをした経験があります。逃げることができない状況でどんな理由であろうともコロナの患者様と向き合い一生懸命頑張ってきた医療従事者の仲間には敬意しかありません。

今振り返れば色んな思いが過去にはあったけれど、こうやって医療に携われていることは幸せです。

先ほどの内容ではあらゆる人への感謝を忘れない気持ちを述べましたが、多分医療従事者は感謝をされるためにしている人は居ないと思います。みんなこの仕事が好きだから頑張れているのかなと、、でなければどんな仕事も続きません。今もウイルスは無くなったわけではないし、またいつどんな未知のウイルスがやってくるかもわからないけれど、私たちは私たちの出来ることを一生懸命頑張って少しでもみなさまのお役になれたらと思うものです。

能力主義とか、学歴主義とかなんだかよくわからない優劣をつけるよりも、みんなで支え合う世の中になるためのことを人間は学んだり深めたり感じたりすることができればいいのかなと、この記事を振り返ったことでまた思いが強くなりました。自分のために、そして人のためになれることを考えて…

今日も一生懸命生きたことに意味があります。頑張った皆様お疲れ様でした。おやすみなさい

2025.05.13